繁盛店となるために
~これからのラーメン店経営に求められるもの~


 ラーメン業界としての大きな問題は、これまでお客様の「購買力」にあまりにも頼ってきたということがあげられます。他の外食産業の多くが食事をするというだけの場から一歩進んで食事を楽しむ場を志向しさらに心に満足のいくサービスを提供できるよう切磋琢磨しているにも関わらず多くのラーメン店は、時代のニーズへの対応が遅れてきたと云わざるをえません。このような反省のもと最後に、これからのラーメン店に求められるものは、何かという観点でいくつかのキーワードについて説明していきたいと思います。

1. ファミリー客のとり込み
 ラーメンは、ありとあらゆる年代層から支持される国民食にもかかわらず、今のラーメン店の多くは、限られた客層をターゲットにたくさんのお店が競合している。かつてラーメン店は、家族が団欒で楽しめる代表的な外食産業であったが今のラーメン店の多くは、それを見失ってしまっているとも云える。ファミリー客をとり込むことに必要なのは、つまるところ「ゆっくりくつろいで食べて下さい」というお店の雰囲気と云える。客席回転率は、下がるかもしれないが一日中、お昼時のように混雑しているわけではない。幅広い客層をとり込んでいくことが安定した経営を確立するためには、不可欠である。

2. 女性客のとり込み
 ファミリー客と並んで今後ラーメン店がとり込んでいかなければならない客層が女性客である。女性同士あるいは女性一人で入りやすい店の雰囲気が必要なことは、「レイアウト、外装、内装」の項で述べたとおりだがメニューにも一工夫したいところ。一般的に女性が好むメニューのポイントとして、「ローカロリー」、「ヘルシー」というキーワードをあげることができる。油を控えたラーメンやミニサイズのラーメン、野菜など健康に良い食材をたくさんトッピングしたラーメンなど女性に好まれるメニューをぜひ加えてほしいものである。

3. 会社経営的発想
 現在、元気のあるラーメン店の多くは、法人経営によっておこなわれている場合が多い。
 法人経営には、資金調達面や税法面などのメリットが確かにあるのですが一番大切なことは、たとえ個人経営であっても「会社経営的発想」がますます重要になってくるということである。通常会社経営をおこなう場合、予算計画や収益計画などがたてられマーケティング調査のもと効果的な広告宣伝といったものが計画的におこなわれる。しかし多くのラーメン店は、いまだ家業的な発想から脱却できず場当たり的あるいはどんぶり勘定的な経営がおこなわれている場合が多い。大手資本を中心とした外食産業の競争が今後ますます激化していくことを考えれば、たとえ家族経営の小規模なラーメン店であっても、会社経営的発想によりきめ細かい経費管理やサービスの提供、計画的な販促活動が今後、ますます必要となってくるでしょう。

4. サイドメニューの工夫
 ラーメンのサイドメニューとしてよくあるのが「ギョーザ」や「シューマイ」。客単価をあげメニューにバリエーションを加えるため多くなラーメン店で取り扱われている。しかし今後、注目したいのが「飲茶」や「点心」である。なかでも中華点心が有望なのは、食事としても、スナック感覚でも、あるいは、お酒のつまみとしても食べることができる点にある。
 またいろいろなものを少しづつ食べたいという現代のクレージングニーズにも合致していると云えるだろう。午後2時~6時頃までのラーメン店にとっては、比較的ヒマな時間帯であってもスナック感覚で売ることによりある程度の顧客を取りこむことができるし夜は、お酒を楽しんでもらうお店として営業時間をフル活用することができる。テイクアウトのニーズも高いため、経営を安定させる方法として今後ますます有望と思われる。

5. 繁盛店となるために~おわりに~
 ラーメン店開業を成功させる場合、どのようなことが必要かということを様々な観点から説明してきましたが現在のラーメン店経営には、かつてのように脱サラで「ラーメン店でも始めるか...」というような感覚では、けっして成功しない時代になっていると云って過言ではありません。競合する他の外食チェーンやコンビニの安価なお弁当などにも負けない「お店独自の個性とこだわり」が無ければ勝ち残っていくのは、難しい時代となっています。飲食店繁盛の3要素と云われる「味」、「雰囲気」、「サービス」に加えて、効果的な広告宣伝やローコストによる効率的な経営ということもますます必要になってくるでしょう。また大々的な広告宣伝や設備投資が無理な小規模のラーメン店であれば大手外食店には、真似できないたとえば一人一人の顧客を大切にするきめ細かいサービスなど「個店」としての良さを大切にしながら「個性のあるお店」を志向することがますます重要といえるでしょう。事実、時代は、ひところの「ご当地ラーメン」を売り物にしたブームからお店の個性を全面に出した「ご当人ラーメン」の時代に移りつつあります。札幌の2条市場で戦後産声をあげた現在の札幌ラーメン、半世紀が過ぎた今、札幌のラーメンのあり方は、大きなターニングポイントにさしかかっています。ラーメンの街札幌にふさわしい新しい感覚の繁盛店が数多く現れ札幌ラーメンの繁栄が今後も続くことを願ってやみません。



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