お役立ち情報 ラーメンを深く楽しもう

ご当地ラーメンと札幌ラーメン

全国には各地の特色・食文化をふんだんに盛り込んだご当地ラーメンがたくさん!
地元で熱烈な支持を集める人気のラーメンを紹介します。
あなたの知らないラーメンが載っているかも…?

九州・沖縄のご当地ラーメン

博多ラーメン

博多ラーメン1
福岡市内だけでも約230軒は、あるといわれる屋台、中州の川沿い、親不孝通り近辺、天神の大通りなどに多い。

「とんこつラーメン」といって一番に思い出されるのが、九州・博多のラーメンだ。実際には、ほとんどのラーメンのだしに使われている「豚骨」。その「豚骨」も調理しだいでまったく異なるラーメンを生み出す。博多ラーメンの流儀は強火で長時間炊くこと。丹念に下処理をした豚骨を水から炊き、沸騰したら弱火に。各種野菜を入れ、鍋に蓋をして、さらに強火で長時間炊く。しだいに骨まで砕け、骨の随からゼラチンが溶け出し、油が乳化して豚骨の旨味たっぷりの白濁したスープへと変貌を遂げていく。

博多ラーメンの発祥は昭和23年、福岡市箱崎に津田茂が屋台ラーメン「赤のれん」を出したことに始まる。津田は屋台が並ぶ中で目立つメニューを考え、戦時中、中国・奉天(今の瀋陽)で食べた「十銭そば」の記憶を頼りに、豚骨を煮込んだ白濁スープを完成させたといわれる。他にも久留米ラーメンが伝わった説もある。

博多ラーメン2
福岡では、1、2位を争う人気店「一蘭」。もともとは、会員制ラーメン店だった。たれの量やコッテリ度など7項目について、注文用紙で好みを指定できるようになっている。

実は同じ福岡市には起源が異なる長浜ラーメンがある。こちらは昭和30年に長浜に魚市場が移転、そのとき、近くに並んだ屋台が発祥。忙しい魚市場の客を相手にしていたために、短時間で湯で上がるよう、麺がどんどん細くなっていった。これがストレートの細麺 を生み出したいわれる。また博多ラーメンに広く普及している替え玉のシステムも長浜ラーメンが発祥。

この「博多」、「長浜」2つのラーメンが互いに良い所を取りあって、それぞれのラーメンを発展させてきたのだ。ただ各店が独自の味を追求した結果、今では両者の区別がつきにくくなった。総称して博多ラーメンと呼ばれることもある。

どちらのラーメンも白濁の薄い、あっさり味。具はチャーシューにたっぷりのねぎ、紅しょうが。小麦の香りがする細い麺が、とろりとしたスープに絡み、旨いの一言。思わず「替え玉ちょうだい!」の声が出てしまう。

熊本ラーメン

にんにくと赤ねぎを揚げ、潰して調合した「マー油」。これとにんにくチップが、九州とんこつラーメンの中でも熊本ラーメンを特徴づけるもの。同じ「とんこつ」でも、その起源は博多ラーメンとは異なる。

発祥は福岡県久留米市。昭和12年、宮本時男がラーメン屋台「南京千両」を開業。評判の「支那そば」を会得するために、横浜中華街で修行、鶏ガラベースのスープの作り方を学んだ。
しかし、いざ店を始めると、長崎出身の宮本は、ちゃんぽんでなじみがあった豚骨を使って澄んだスープをとった。この「南京千両」の影響をうけ屋台を始めた「三九」の創業者、杉野勝見は、昭和22年頃、白濁した豚骨スープを作り出す。それは買い物にいってしまい、過って豚骨を長時間煮立たせてしまったためにできた、偶然の産物だった。この「三九」が昭和26年熊本県玉名市に支店を出したのが現在の熊本ラーメンの下地を作るきっかけとなった。

その後、このスープの味にほれ込んだのが新横浜ラーメン博物館の人気店「こむらさき」の創業者で昭和29年熊本市内にカウンター10席の小さなお店を開業した。翌年同じく熊本市内で後に東京進出の先駆けと言われる「桂花ラーメン」も開業、これらの店が現在の熊本ラーメンの地位を不動のものにしていった。
その味は博多ラーメンよりもしっかり豚骨を煮込んだ、こってり味。麺も博多のものよりもやや太く固め、それを芯が残る程度に茹でる。そして調合した油だったり、チップスだったり、流儀は各店で異なるが、熊本ラーメンを最も印象づける「にんにく」を入れる。これがこってりとしたとんこつスープをさらに引き立てるのだ。質実剛健な熊本のイメージにあった、どっしりとした骨太のラーメンだ。

長崎ちゃんぽん

長崎ちゃんぽん
「皿うどん」と「ちゃんぽん」
写真提供 株式会社 みろくや

古くから海外との交流の歴史をもつ街、長崎。シッポク料理などの郷土料理にも、異国の文化の影響を強く残している。その長崎の代表的な麺料理といえば「ちゃんぽん」だ。豚、イカ、エビ、かまぼこ、キャベツ、玉ねぎなどを炒めた具が山盛り。麺はストレートの極太、スープは濁った白湯スープというボリュームたっぷりの麺料理である。

その起源は定かではないが、明治32年、長崎で中華料理店「四海楼」を創業した中国・福健省出身の陳平順が生みの親という説がある。同郷の留学生たちに安くて栄養のあるものをと、福健省の麺料理をベースに様々な具を加えて「ちゃんぽん」を作ったというのだ。
「ちゃんぽん」という言葉が長崎に登場してくるのが明治30年代以降であることから、どこが発祥かは不明だが、この時期に作られた食べ物であることだけは間違いがなさそうである。また、明治末期には「皿うどん」も「ちゃんぽん」も共に「ちゃんぽん」と呼ばれていたようだ。

ではこの「ちゃんぽん」という名前はどこから来たのか。中国語だという説では、福健省の「吃飯(シャポン)」(閩南語の発音)という言葉が語源だという。直訳すれば「食事をする」という意味だが、食事どきの挨拶言葉として使われている。一方もともと日本にあった言葉で、「異質の音が混じりあう」という意味という説も。いまや長崎だけではなく、日本全国で味わうことのできる「ちゃんぽん」。長崎が生み出した麺料理の傑作だ。

沖縄そば

沖縄そば
沖縄そば
写真提供 株式会社 サン食品

琉球王朝からの長い歴史の中で、独自の食文化を作り上げてきた沖縄。日本の他の地域とは異なり、古くから豚を使った料理が食べられてきた。中国と交易を行っていた約400〜500年前に大陸から伝わった麺料理に改良が重ねられ、宮廷料理として定着していったのが「沖縄そば」だ。かつては王族・貴族の、明治時代には一般の人々に広まり、今では県内で1日15〜16万食も食べられている「沖縄の県民食」となった。

麺はうどんのような外見。しかし弾力があり歯ごたえ充分な「噛む麺」だ。小麦粉、かんすい、塩で作られた麺は、油がまぶされ、麺だけでも食べることができる。スープは豚骨からとっただしと、鰹節をたっぷり使っただしをブレンドし、醤油などで味を整えたもの。鰹の香りがぷーんと漂う、あっさりとしたスープだ。

具は豚肉の三枚肉にカマボコ、ネギ、紅ショウガなど。豚のスペアリブを味付けした肉「ソーキ」が具になると「ソーキそば」となる。その他、豚足「てびち」をのせた「てびちそば」や、野菜をのせた「野菜そば」などバリエーションが豊富になってきた。
食べるときには、島唐辛子を沖縄の焼酎「泡盛」に漬けた「こーれーぐす」という調味料を数滴たらすのが地元の流儀。本土のうどんのようでもあり、中国の麺料理のようでもあり、お互いの良いとこ取りの「沖縄そば」。一度食べたら癖になる不思議な麺料理だ。


ページ先頭へ