お役立ち情報 ラーメンを深く楽しもう

ラーメンのひみつ

たった一つの丼の中に麺、スープ、具がフルコースとなって完成する「ラーメン」
最高にうまいラーメンは、この3つの要素が絶妙にマッチしていると言って過言では、ないでしょう。
ここでは、この3要素の秘密についてお見せします。

スープのひみつ 〜ガラスープ

豚骨

ラーメンスープのだしを取るために主材料としてもっとも一般的に使われます。
豚骨には、 ゲンコツ、アバラ骨、背骨、頭、豚足と5種類がありますが、同じ豚であっても、部位によって骨髄の出方が違います。この特徴を活かし、それぞれの組み合わせを変えることで、スープの個性を鮮明に出すことができます。

なおそれぞれの部位は、以下のような特徴があります。

  • ゲンコツ

    豚のひざ間接部分のこと。人の拳の形に似ているのでこの名前がついています。質の良い骨髄が長時間にわたってよく取れこってりとした厚みのあるスープを取るには、欠かせない材料の一つです。

  • アバラ骨・背骨

    ゲンコツに比べて安い。すぐによいだしが出るが長続きしません。

  • 豚足

    ゲンコツに加えて味の深みを出す時などに使います。じわじわと濃い旨味がでますが充分な下処理(掃除・洗浄)が必要です。

  • 豚頭

    質の良い骨髄がよく出ます。生々しいので、使う時は、客から見えないようにする配慮も必要です。

豚骨は、鶏ガラに比べコラーゲンが多いことがその特徴でゼラチン質が多量に出るのでしっかりとしたスープがとれます。また脂肪が多いのでスープの表面には、油が浮きやすくなります。

しかし長く煮続けていると、浮いた油は消えスープが白濁してきます。
これは、スープに溶けだしたゼラチン質が乳化剤の役割を果たし、スープと分離していた油が乳化してその中に溶け込むからです。つまり白濁したスープは、乳化がうまくおこなわれていて、これによって味がまるくなりスープの味にまた別の良さがでてくると言われています。

鶏骨

鶏ガラでとるスープは旨味の成分であるグルタミン酸が多いというのが特徴です。この成分がラーメンのスープのおいしさの基本となっています。ただし鶏は、豚骨に比べてゼラチンの元になるコラーゲンというたんぱく質が少ないので長時間煮込んでも白濁せずどちらかと言うと澄んだスープに仕上がります。

鶏ガラだけでなく肉のついた丸鶏を使えば更に濁りのない甘味のある濃厚なスープがとれます。これは、肉の部分に旨みの元になるたんぱく質が多いことや肉の骨に近い部分にもコラーゲンが多く含まれているからです。またモミジと呼ばれる鶏の足元の部分にもコラーゲンが多く含まれています。なお鶏骨に使われるそれぞれの部位は、以下のような特徴があります。

  • 鶏ガラ

    可食部を取り除いて残った骨です。澄んだスープをとるのに適しています。

  • モミジ

    鶏ガラの足の部分のことを言います。良いダシが比較的早くとれあっさり味のスープは、必ずと言って良いほどモミジのダシがきいています。なお使用には、爪を除くなど、充分な下処理(掃除・洗浄)が必要です。

    モミジ

節類(和風だし)

和風だしをとる場合に使う、かつお節、さば節、そうだ節などの総称を言います。 和風だしを取るには、たとえば、かつお節に昆布を組み合わせる方法などがとられます。これは、単独でだしをとるよりも異なった材料を合わせることにより旨みが強くなる法則に従っています。科学的には、鰹だしのイノシン酸と昆布だしのグルタミン酸が合わさることにより一層美味しくなります。

ちなみに旭川ラーメンは、煮干しやアジ節のような和風だしを多く使い独特の風味と味をだしています。また煮干しには、豚骨の匂いを消す働きもあります。

香味野菜

骨、特に豚骨を使用するスープには、その臭い消しが必要です。それにふさわしいのが、玉ねぎ・ニンニク・生姜となります。中でも生姜には、肉や魚の生臭みを消す成分が含まれていますので、その消臭効果には、大きなものがあります。ニンニクや玉ねぎのような辛味と独特の臭いを持つ野菜を煮ることでその香り成分が甘味成分に変化しスープにほどよい甘味をつけてくれます。このように自然の甘味を出すには、砂糖などを加えず、野菜でまかなうのが一番なのです。

主に使われる香味野菜には、以下のようなものがあります。

  • 玉ねぎ・長ねぎ・人参・きゃべつ・ジャガイモ・りんご

    全て甘味を加えるために使います。ただし、それぞれに甘味の種類が違います。

  • 生姜・にんにく

    肉の臭みを取る目的で使います。

その他の素材

ラーメンのガラスープを取る素材は、その他いろいろなものがあります。 よく使われるものとしては、牛骨があります。 牛は、豚にない良い風味があり味がしっかりと濃いのに香りのある上品なスープができるのに特徴があります。

また変わった素材としては、肉の臭みを取り、独特の個性を出す時に月桂樹の葉を使うお店もあります。

スープのひみつ 〜元だれ・油脂

ラーメン屋さんでは、できあがったガラ−スープを元たれで味付けしてスープを完成します。一般的には、醤油、味噌、塩などの種類があります。たれにこだわるラーメン屋さんも多く、たとえば醤油に野菜や香辛料を加えて何時間も煮こんだり、うま味を出すためわざと焦がしたり、あるいは、何種類もの味噌をブレンドしたりとその複雑ゆえ「秘伝」としているお店も多いようです。

醤油だれ

日本が世界に誇る調味料醤油をベースにした醤油ラーメン。醤油は、日本民族の好みを最大限に考慮して作られたものであるため、醤油ラーメンこそがラーメンの本道と言う人も多くいます。

醤油の種類には、濃口醤油、淡口(うすくち)醤油、溜まり醤油、再仕込み醤油、白醤油の5種類があります。醤油たれを作る際、ガラスープの風味を壊さない点では、淡口醤油が一般的に好まれます。
濃口醤油の中には、ブランデー、コーヒー、バニラ、ウイスキーなど120種もの香りの成分が確認されていますので、素材の持ち味を隠してしまう恐れがあるからです。その点、醤油そのものの風味を抑えた淡口醤油の方が素材の持ち味をうまく生かすことができます。
ただこれも扱い方しだいで淡口醤油だけではコクの点で不足しますので、濃口醤油も併用して風味を高めていく方が、より美味しいスープが出来上がるとも言えます。またラーメン屋さんの中には、タイやベトナム料理で使うニョクマム、ナムプラーなどの魚醤を加えるお店もあります。

醤油たれの作り方にはいろいろな方法がありますが、チャーシューの肉汁の旨みが溶けこんだ煮汁に、醤油や酒、ニンニク、生姜や香辛料などを加えて煮こむといった方法がもっとも一般的と言えるでしょう。

  • 淡口醤油

    色は薄いが塩分は、高い。出し汁やみりんと相性が良い

  • 濃口醤油

    香りが強く、肉や魚の生ぐささを消す

  • 溜まり醤油

    大豆が主原料。色は、濃いが香りと塩分はおさえめ

  • 白醤油

    小麦と少量の大豆が原料、材料の風味や色を生かす料理にむく

  • 再仕込み醤油

    濃い口しょうゆに麹を加えて二次発酵させたもの。味、色とも濃厚

もっと詳しく知りたい人へ

工場見学のご案内 【ヤマサ醤油株式会社】
千葉県銚子市にあるヤマサのしょうゆ工場のバーチャル見学、醤油のできる過程が分り易く解説されています。

味噌だれ

札幌ラーメンの代名詞とも言える味噌ラーメンは、味噌自体のおいしさがスープの味を作っています。味噌には、独特の強烈な風味がありますので、淡白な旨味のスープですと味噌の強烈な個性に負けてしまいます。こってりとした味のスープであって初めて味噌の個性に負けず、スープの旨味も生かされてくるのです。しかも味噌の中の大豆たんぱく質には、スープの油を吸収する作用がありますのでこってりとしたスープであっても、油ぎった味を隠してくれる効果があります。

味噌の種類は多種多様ですが、原料からの分類では米味噌の生産が味噌全体の80%を占めています。米味噌の他には、麦味噌、豆味噌もあります。また原料は同じでも、製法の違いにより赤味噌ができたり白味噌になったりします。北海道でもっとも好まれるのは、米味噌の白味噌タイプですが、このタイプはまず大豆を煮て塩と米麹を加え、短期熟成で商品化されたものです。味噌だれに使用する味噌は、大豆の使用比率の高い新潟産の味噌や仙台味噌になります。西京味噌のように大豆の使用比率の少ない味噌や風味の強烈なたまり味噌は、味のバランスが崩れるのであまり味噌ラーメンスープには向かない傾向があるようです。

味噌だれの作り方は、大豆比率の高い味噌を2〜3種類ブレンドし、そこに玉ねぎや人参などの数種類の野菜やりんご、桃などの果物をすりおろして入れ、煮こむといった方法が一般的ですが、中には、5種類以上の味噌をブレンドしたりバター、ワイン、スキムミルク、粉昆布や各種香辛料などを加えたりするお店もあり、その作り方のバリエーションは想像以上に多種多様です。

もっと詳しく知りたい人へ

みそ健康づくり委員会/ 味噌の公式サイト
全国各地にあるお国自慢のみその紹介や味噌料理のレシピー集など味噌に関わることなら大抵のことは、わかります。

塩だれ

ラーメンの歴史は新しく、元々は中国の麺料理がルーツで明治時代後期に広東料理の「湯麺」を日本風にアレンジして作られたものといわれています。この「湯麺」が塩味であったことから塩ラーメンは、日本におけるラーメンの原型にもっとも近いものと言えます。また塩味は、シンプルであるがゆえに素材の味がそのままスープの味に反映するため、ある意味では、作るのがもっとも難しいラーメンともいえます。

さて日本では、海水をろ過してイオン交換膜で濃縮し、さらに真空式蒸発缶で濃縮し遠心分離器で脱水し乾燥して塩を作っています。この方法ですと、塩化ナトリウムの純度が高く不純物がほとんどありません。ただ最近は、天然塩と呼ばれる、塩化ナトリウムに「にがり」と呼ばれるミネラル分が多く含まれた塩が、その複雑な味とコクから注目を集めています。塩たれを作る際にもこのような塩が今注目を浴びています。たとえば「赤穂の塩」や「海洋深層水」(水深200メートル以下の海水のことで低温のため細菌が少なく栄養分も豊富と言われている)をろ過した塩などは良い例でしょう。

塩だれの一般的な作り方としては、みりんやお酒、醤油などに塩を溶かして、調味料や砂糖を加える方法がもっとも一般的です。

もっと詳しく知りたい人へ

公益財団法人塩事業センター
塩の製造方法や塩を料理で使う場合のコツ等が紹介されています。

油脂

ラーメン屋さんでは、スープに浮かんだ油を大事に使います。またラードもその店独自に加工している店が多いのです。油脂の持つ旨み、風味がラーメンの味の大きな決め手になっているようです。
 食用の油脂は、常温で溶けることなく固形のものを「脂」、常温で液体状のものを「油」と書きます。ラーメン屋さんで使用する「油脂」には、以下のようなものがあります。

  • ラード

    豚の脂肪を精製した純正ラードと牛の脂肪がまざった調整ラードがありますが一般的には、調整ラードがよく使われます。ネギや、ニンニク、生姜といった香味野菜をラードでじっくり揚げることで香りづけした油(シーズニングオイル)をラーメンの調味油として使用します。

  • バター

    乳を原料にしたバターも油脂のひとつ、札幌が発祥のバターラーメンが有名ですが味噌ラーメンやカレーラーメンにもよくあいます。

  • チキンオイル

    甘み、香りと旨みが強いコクのある油です。豚骨スープに少量加えるとまろやかな味に仕上がります。

  • 大豆油

    大豆の種子から作られる油。動物性油脂のように固まらないので冷し中華などに多く使われます。また軽い味なので、クセをつけたくないスープにも使用します。

  • ごま油

    香ばしさを表現したり、中華風を前面に出したい場合に使用します。冷し中華にもよく使われます。

  • オリーブオイル

    冷しラーメンやあっさりラーメンに使われ最近、注目されています。

油脂には、このようにいろいろな種類がありますがスープに厚みを付け、香り立ちを良くするために不可欠なものです。

うま味調味料

日本人がうまいと感じるうま味成分は、グルタミン酸だと言われます。これは、日本人が古代から主食としてきた米、魚、大豆等に多く含まれています。安定的で安全性が高く、その調味作用は、単に旨味の付与だけではなく、酸味、苦みの緩和、コク・肉味の付与、風味の改良など広範囲にわたっています。グルタミン酸を使った調味料としては、味の素のハイミー等が有名です。グルタミン酸は、ラーメンに限らず広く料理で使用されている調味料と言えます。

一方、西欧料理に多く含まれる旨味成分がイノシン酸です。豚や牛などの肉料理には、このイノシシ酸が多く含まれます。イノシン酸を使った調味料としては、いりこだし等があります。その他の旨味の素としては、きのこエキス等に多く含まれるグアニル酸、しじみ、はまぐり等の含まれる貝エキスのコハク酸などがあります。

もっと詳しく知りたい人へ

うま味調味料協会
食べ物の味を構成する5大要素(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の中のうま味について大変分り易く解説されています。料理の基本としてぜひ知っておきたいことばかりです。


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